[承前]昭和三十年代前半の子供向け漫画雑誌といえば、月刊誌と決まってい
た。ぼくら、少年ブック、少年と、各社が競って発行していたが、親
が買ってくれたのは“少年画報”だった。
なぜ少年画報だったのかはわからない。ただ『まぼろし探偵』や『赤
胴鈴之助』といった、その当時に一世を風靡した作品が掲載されてい
たので、そんなあたりを手がかりに買ってくれたのではなかろうか。
当時の漫画誌の特徴として、なぜなのか理由はわからないが、本誌と
は別に本誌半分くらいの大きさの分冊が付録として何冊か束ねられて
いたのだ。分冊は、本誌に掲載された人気漫画本編の続きになってい
たのだ。どうしてそんな仕組みにしていたのか、何か深い事情がある
のだろうが、さっぱり意味がわからないままだった。
少年画報は毎月毎月を楽しみに読んでいたが、たった一つだけ不満な
ことがあった。それは他の月刊誌に付録として挟み込まれていた紙製
の模型が付いていなかったことである。
それは、飛行機だったり車だったり船だったり、編集者が工夫を凝ら
して制作していたのだった。それで、なぜ少年画報に工作付録が付い
ていなかったのか理由は判然としないままだった。
その代わりというわけではないが、駄菓子屋には我々ガキどもが“当
て袋”と呼んでいた、そうした雑誌付録などを古新聞を貼り合わせて
作った袋の中に入れて、一回10円とかで一袋引くことができたのだ。
実は、数回ほどやった後さっさとやめてしまった。なぜかと言えば、
付録の作り方は本誌に掲載されていて、ちょっと複雑な組立ての工作
物だったりしようものなら、子供にはまるで歯が立たずにゴミ箱行き
になってしまったのである。
[続く]《昭和のトピックス一覧》
posted by HIDAMARI at 00:01|
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